新川漁港の一部開放(釣り場)に思うこと

いよいよ釣り新時代の到来か

2026年9月の大ニュースといえばアンバサダーVOLTIQの発表と新川漁港の一部開放です(個人的な注目)。

リンク先は新潟市ウェブページ

Instagramのストーリーに上げたときは感想を述べてなかったので、こちらのブログで取り上げておこうと思います。


今回の一部開放は、社会実験のようなものだと思われます。「ようなもの」って表現になる理由は社会実験と明記されてないから。つまり、極めてローカルな場所に依存して「とりあえずやってみよう」という性質を感じます。条例・制度の設計までは目的としていないが、見据えてはいる、といったところだろうと推察します。

ただ、その内容を読むと、決してテキトーではないな、と思わされます。行政の通知なので法令等に詳しいのはもちろんですが、用語の扱い方、関係各所との調整、内部的には対処フローも整理してあるだろうなと、そういう印象を受けました。


さて、この項を「いよいよ釣り新時代の到来か」と題した理由は、日本の釣りを取り巻くルールの整備は諸外国と比べて100年は遅れていると思うからです。

一例で、キャッチアンドリリースという言葉がありますが、これは19世紀のイギリスで生じた水産資源保護運動の合言葉と呼べるものです。そこから20世紀に入って80年以上をかけて釣りのライセンス制度を完成させていき、また、イギリスを追うようにして多くの国々も制度を整備していった、というのが釣りの世界史です。

このようなライセンス制度が始まった理由は、キャッチアンドリリース運動だけでは乱獲や紛争に歯止めがかからなかったからとも言えます。釣りに関する社会問題の解決には国家の介入が必須であるという点については議論の余地がないのです。


ここ新潟には、かつて、村上藩が定めた漁の規則が参考にされて日本中に広まったという歴史があります。

その頃と同様に、新潟から始まるかもしれない。新川漁港の一部開放は試金石となるかもしれません。

新川漁港の実態とこれから

新潟県新潟市の新川漁港(しんかわ)のことを知らない人のために補足しておくと、ここはまあ、釣り人の法令違反が常態化していて酷い状況にあります。

駐車禁止、立ち入り禁止、釣り禁止。大きくて威圧感のある看板が立ってますから、普通の感覚ならば到底ここで釣りをしようとは思わないはずですが、休日ともなると実に多くの釣り人が侵入しています。


釣りのルールは法令です。野球やサッカーのルール違反と違って、現実社会において罰を受けることになります。軽くですが以下に書き添えておきます。

立ち入り禁止の看板を無視して先に入ったなら、軽犯罪法違反です。フェンス等を乗り越えて先へ進んだなら、より罰則の重い、建造物侵入罪です。いずれも前科がつく犯罪です。また、法令に基づく罰に重ねて、学校や会社が定める規則による懲戒処分も加わってきます。

これらのリスクを負ってまで魚が欲しいと思っている釣り人はいないはず。どうしてそうまでして釣りたいのか、普通の釣り人には理解できないことと思います。不法行為をしてしまう釣り人の心理というのは、ギャンブル依存症などとして知られている「行為依存症」で正常な判断ができない状態と似通っています。

ちなみに、立ち入り禁止や釣り禁止とされている場所・時間・方法等によって釣った魚は即座にリリースしなければなりません。これは民法の定めによる無主物先占において、野生魚の所持(占有)に至った経緯に正当性がないため、釣った魚の所有権を取得できないから、と説明できます。

日本国内でこの点を追及した判例は知りません。参考として諸外国では、釣り人に占有の正当性がない場合には自動的に漁業者や地権者に所有権が帰属されることで、その釣り人を窃盗や器物損壊に問えることもあるようです。日本の場合でも最終的には国家(地方自治体)に帰属すると考えるのが妥当でしょうから、現行のままでも所有権を根拠とした法的措置がないとは言い切れない気がします。


と、ここまでが予備知識で、新潟市の通知を読んでみると、おー、本気だな、と思う箇所があります(笑)

定期的に巡視員が巡回します

巡視員の注意を受け入れられない場合は、警察に通報します

建造物侵入罪となる要件として「看守している」というのがあります。立ち入り禁止の看板だけでは軽犯罪法違反にしか問えなくて、警備員を置いて監視したりフェンスで侵入を防ぐといった措置を講じないと「侵入を防ぐ意思がない」とみなされて重い罪には問えない理屈です。

なので、巡視員がいるという状態は「看守している」を満たすので、通報を受けた警察官によってスムーズに現行犯逮捕が可能です。そのまま建造物侵入罪や不退去罪に問えるようになっている、そのように準備していますよ、と読めるんです。「注意を受け入れられない場合は」とも書いてくれているので、一旦は声をかけてくれるんでしょうね。


各所へ調整を頑張ったんだろうな、という印象がありますね。名前が出てるものだけでも、新潟市、警察、新潟漁協、新川釣具とあって、休日も運用するので巡視員も外注かもしれない、悪態つく人への対処も想定すると警備会社に委託することも普通に考えられます。落水事故も考慮すると当然ながら海上保安庁もですね。株式会社ウミゴーからも事例とか相当に情報提供を受けたんじゃないでしょうか。

本当に多くの人が関わってカタチにしたんだろうな、と感服いたします。通知文の内容も過不足がなくて美しい。書こうと思えばもっと書けたけど、理解しやすくするために書いてない、って感じがします。私も仕事柄、文章から滲み出ているものを感じて、素晴らしいなと思います。


ひとまずは短い期間なので大きなトラブルもなく終わると予想します。これを初夏のハイシーズンに2ヶ月間にわたって実施する、ってなれば、その時こそ様々な意見が出てくるのかなと。

今後の動向に注目しています。