ABU新型リールを今江節から読み解く

今江アンバサダーが連日の情報発信

2025年12月16日から17日にかけて、ピュアフィッシングジャパンのアンバサダーを務める今江克隆さんが新製品情報を各所で発信しています。その中でも珍しいのは非公開情報となっている新型リールの登場予告で、写真にはモザイクをかけ、文章では明言を避けつつも、その興奮ぶりは相当であることが窺えるものとなっています。

各所の情報を繋ぎ合わせると何となく見えてくるものがあります。当サイトではレスポンス記事としてこの投稿をまとめますので、まずは各所での情報をご覧いただくとよいかと思います。

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新型スピニングリール

今江克隆公式ブログでの紹介順に倣ってスピニングリールから見ていきたいと思います。

まずは写真を再確認です。

モザイクがない箇所から注目するとして、リールフットが見えています。特筆するものはないようにも見えますが、その通り、通常のダイキャストであるように見えます。

私がここに注目した理由は、いずれはルアー用リールにもCNCの波が来るのではないかと予想しているからです。現在、フライ用リールはCNCが基本であり、ダイキャストは低価格帯のものに限られます。CNCはダイキャストよりも硬い金属でフレームを作ることが可能なため、リールの薄肉化と軽量化に寄与します。反面、加工の時間が長くなるため製造コストが高くなります。商業的に成立する時期が訪れれば、必ずどこかのメーカーが作るだろうと思います。

さて、次に右側の大きなサークルの箇所です。ゼノンの登場以後に定番化したコンパクト左右非対称ボディであるように見えます。スプールスカートもAir-Fin spoolを踏襲したシェイプのようです。キープコンセプトということでしょう。

左下のサークルはテーブルに落ちた影に注目しています。光源が複数あるもののスポット光なので光線追跡が可能です。

ここは気になる箇所です。ハンドルの影を観察すると大きなブランキング(肉抜き加工)があるように見えるからです。アルミ合金の場合は最初から自由に成型できるのでブランキングをする理由はあまりありません。となると、カーボンの積層素材だろうと予想するわけですが、それにしてはあまりにも大胆なブランキングに見えます。最新のカーボンならここまでできるということなのか、予想の上に想像を立てるのは危険ですが、もしそうならハイエンド機種であるはずです。早く詳細を知りたいと思いました。


さて、今江さんの文章の中にも多くのヒントがあります。文章を読む上で大切なことは書き手の表現が何であるかを考えることです。今江さんは1964年生まれの大阪府出身です。私は今江さんとは世代も文化圏も異なるので、今江さんの表現を読み解く必要があります。

なんかトンデモナイもん出て来ましたわ。
ABUがなにやらガチになってますわ。

「ガチ」という言葉が出てきました。比較的に若い世代で東日本文化圏の人であれば「ガチ」は「本当」という意味で使われています。例えば「それガチ?」は「それ本当?」という意味です。

しかし、今江さんが用いる「ガチ」は「ガチンコ勝負」に由来するイメージを伴っており、すなわち「真っ向勝負」を意味しています。つまり、この文章は「ABUが競合他社に対して明確な対抗意識を示したのを感じた」という意味であると読み取れます。

最新スピニングリール、いろんな意味でブッ飛んでます。
今迄のABUとは次元が違う。

「いろんな意味で」とは、今江さんの場合はメーカーを主宰していることもあってか、高次の(メタな)意味を含んでいることが示唆されます。続く文章に「次元が違う」と書くことで同じ意味の繰り返しになっています。このような冗長性のある言葉選びは『今江節』の特徴でもあります。

つまるところ、リール性能のみに注目して、これまでからの正常進化ならばこのような表現は生まれません。おそらくは競合他社の製品と明確に比較が可能となるような機能を搭載しているなど、対決姿勢が打ち出された製品なのではないかと予想します。

来年はスピニングに膨大な出費せんで済みそうです。
いやはや、アメリカ人までワシのスピニングインプレ、全部読んでるんちゃうか?

ここはかなり含みがあると感じました。今江さんは近年においてシマノのアンチツイストフィンを絶賛しています。その背景としても、以前にゼノンが登場した頃に糸落ちを指摘したところ、一般アングラーが虎の威を借るようにゼノンを酷評する事態が生じ、華々しい新製品に水を差すことになったという経緯があります。

補足すると、ゼノンの糸落ちというのはアングラーの知識の問題です。私も虎の威を借りることになりますが、一例として、スピニングの名手として知られる青木大介選手はスト系アクションでロッドを横に捌いています。ところが一般アングラーは縦に振っている人も多いように見受けます。ルアーフィッシング界のレジェンドである村田基さんもフッキング動作に関してフロロの時はロッドを立てるのではなくて横に振らないと力が伝わらないことを説いています。つまり、これはフロロを操作するときに知っておかねばならない事柄です。スト系アクションに限っていえば、縦に振るとリールとストリッピングガイドの間にスラックが生じてしまって糸落ちを誘発します。ロッドを水平付近に構えて横に振ればスラックはトップガイドの外側に生じるのでラインをコントロールでき、フッキングのミスもありません。ロッドやラインの操作には合理的な正解があるものです。

話を戻して、今江さんの文章から私が想像したのは、アンチツイストフィンのような機能をアブの新型スピニングリールも搭載してくるのではないかということです。だとすれば「膨大な出費」とは国内メーカーのリールが高額であることと合致しますし、「アメリカ人までワシのスピニングインプレ、全部読んでるんちゃうか?」は今江さんのニーズを叶えるリールに仕上がっているという意味に受け取れます。

私がミスリードしている恐れは大いにあります。続報が待たれます。

新型ベイトリール

こちらも写真を再確認していきましょう。

奥には銀色のロープロファイルリールが3機種あるように見えます。手前の赤色のものは丸型リールに見えるので Ambassadeur の新型が2機種あるのかもしれません。

特に赤くて小さくて丸いヤツ👑とか、ノスタルジックなのに、その驚異的性能に涙モノでした🥹💦

Instagramでは「赤くて小さくて丸いヤツ」とまで言ってしまっているし、公式ブログでは Ambassadeur の名機を引っ張ってきて一節書いているくらいなので、ほぼ確定だろうと思います。

さて、この写真でも影にはモザイクがないので、そこからわかることがあります。ハンドルノブはコンテンポラリーな中空パドルノブであるように見えます。長さは標準か、または少し長めのものですから、コンパクトモデルではなさそうです。

ハンドルの影が細身であり、モザイク部分の様子も加味すると、カーボンの積層素材であるように見えます。

ノスタルジーとイノベーションの炸裂ですわ。

ロープロファイルリールで磨き上げたテクノロジーを Ambassadeur に纏わせたということでしょう。丸型リールはコンベンショナルリール(伝統的なリール)とも呼ばれるとおり、伝統を守るがゆえに、あえて革新をしないリールです。

しかし、コンベンショナルリールメーカーを代表するアブが、あえて伝統に革新をもたらすとするのであれば、これほど破壊的なイノベーションは近年は例になく、数十年ぶりのことになるだろうと思います。40数年前に登場した Ambassadeur 1000などは丸型の形状を崩したモデルで、その後のロープロファイルリールへの転換点となりました。2026年はそのような大きな転換点になる可能性を秘めていると感じます。

それから画像の奥に写っている銀色のロープロファイルリールも気になりますね。サークルで囲った機種はクランクサイドプレートが立体的です。広角レンズ特有のパースにより遠近感が誇張されることを考慮すると、かなり大型のリールであると思います。直近にビースト系が登場したばかりなので、ただのパワーモデルならば作る理由がありません。とすると、プラスアルファの機能を備えたパワーモデルであるはずです。

3月まで全世界公開禁止の新型ベイトリールにも腰抜かしましたわ。
「マジっすか!!!!」って思わず声出たほど。

たぶんみんな同じ声出しますわ。
まさかABUがそうくるとは夢にも思わなんだ…。

「そうくるとは」と書いてあります。「そう」とは、すでに知っている概念を指すときに出てくる言葉です。LureNewsRのほうでは「アレ」とも言ってます。要するに「競合他社はやっているけど、ABUがやるとは思わなかった」という意味に受け取れます。

ここについて私がすぐに思い浮かべるのは、デジタル機能の搭載です。

ベイトリールにデジタル機能を搭載しているメーカーは、シマノ、ダイワ、KASTKINGがあったと思います。いずれもアジア系メーカーです。これはアジア系メーカーが先進的であるという意味ではありません。アメリカこそ小型デバイスの開発に熱心で、その技術をもってしてリールにデバイスを組み込むことなど造作もありません。しかしそれをしてこなかったのは、欧米における釣りは狩猟文化に根ざしていることと関係していると私は考えています。彼らは自然界や獲物との向き合い方に関して尊厳を重視します。特に保守的な考えにおいては過剰なテクノロジーを自然界に持ち込むことは忌避されており、それゆえにフライフィッシングのようなローテクな釣りが崇高とされる文化が醸成されているのだと思います。

実際にデジタル機能が搭載されるかは現時点では全く不明です。しかし、スピニングとコンベンショナルが、いずれも業界にインパクトを与えるような破壊的なイノベーションなのだとすれば、それは各デザインチームのアイデアが偶然に揃ったのではなくて、トップダウンでメーカーとしてのポリシーが改定されたに違いないと思います。保守よりも革新を選び、それによって起こる摩擦と衝突、そして批判などは覚悟の上というものです。そんなことを気にするよりも、驚きをもたらそう、人々にシンプルに喜ばれる製品を生み出そうということかもしれません。

ロープロファイルリールについては今江さんの写真と文章からは何もわかりません。ただ、みんなが驚くはずだという旨なので、大きな変化なのは確実でしょう。ちなみに今江さんは小さくてマニアックな変化なら「いぶし銀」のような言葉を選ぶので、新型リールはそのような小さな変化ではないはずです。


個人的に、最近欲しい Ambassadeur の機種があるんですけど、今江さんの発信を読んでみて、新しい赤くて丸いリールのほうが欲しくなってきました。あれもこれもは買えませんし、使いきれないですからね。

3月に全世界同時公開が予定されているようなので、続報が待ち遠しいです!