Paddle Game(パドルゲーム)
カヤック、SUP、ゴムボートアングラーのためのロッド「パドルゲーム」が出るゾ
Paddle Game(パドルゲーム)【アブガルシア】
ベイトモデル(2025年9月発売)
スピニングモデル(2025年12月発売)アブガルシアから、カヤックやSUP、ゴムボートなどで釣りをするアングラーのためのロッドシリーズ「パドルゲーム」が登場!
LureNewsR
所感
少し前から製品ページは公開されていましたが、ひとまずスルーしておりました。こうやってメディアに紹介されるとやっぱりいいなと思いますね。カヤックフィッシングしたいです。
じつはカヤックとカヌーは多少の心得があります。もともと山レジャー派で、湖に貸ボートがあれば必ず乗るくらいには手漕ぎ船が好き。一時期は毎週末に山に登り、月に1回はボートを漕いでいました。そのくらいの頻度だと自前のカヤックが欲しいと思うものですが、何とか踏みとどまっているうちにソルトアングラーになっていました。
その経験ゆえに思うのですが、海のカヤックフィッシングは一番大変な釣りだろうと思っています。大物を釣りたくて沖に出るなら素直に船を頼むべきです。動力船に乗せてもらうのはレジャーの範疇で済みますが、自分一人の力で手漕ぎ船で沖に出るのは「冒険」の範疇になります。
過去、私がカヤックに乗っていて最も危なかったときの話をします。
ある休日の昼下がり。バディとカヤックのタンデム艇(2人乗り)に乗り込み、とある湖に浮かんでいました。その日はいつも通りに順調でしたが、バディと私はその湖が初めてではなかったので少し退屈でもありました。そのため思いつきで(すなわち魔が差して)ちょっと遠出することにしたのです。以前から地図上に気になるポイントがあったので、今日は時間もあるし見に行ってみよう、と。
もうすでに湖上に浮いているわけです。完全に計画外の行動。カヌーと違ってカヤックは二人の身体が艇に固定されているような状況です。だから地図を見ながらの作戦会議など面倒でやりません。ここまで読んだだけでも登山をやる人ならピンとくると思います。遭難した人が陥る行動パターンです。
何が恐ろしいって私は登山をする人なんです。冬季登山もしていたのでリスク管理には自信がありました。だけどミスをしました。その湖は比較的に安全な湖だったからこそ判断が甘くなったという背景はありますが、ミスはミスでした。
当時はそんなこと思いもせずに意気揚々とパドリングしていました。でも地図を見ながら漕いでいません。だいたいあのへんだったよな.. と記憶を頼りに目的地を探します。そして目的地へ着いた頃には、(これも後で計算してわかったことですが)計画していた往路分の2倍の距離を漕いでいました。
行って帰ってくる分の距離を漕いでしまったわけです。もう疲れています。そして時間も経っています。往路にかかった時間はわかっているので頭の中でザッと勘定して復路の計画を立てます。スタート地点に帰る頃には日没を迎えてしまうかもしれない。急いで戻ろう。このとき2人の認識が一致していたのは幸いでした。
しかし、いよいよ太陽の光が湖面を照らさなくなる頃になって異変に気づきました。計画よりも船が進んでいないのです。夕刻が迫り、強い向かい風が発生していたからです。アングラーならよく知っているとおり、朝と夕は風向きが変わるタイミングです。ところが日中しかカヤックに乗っていなかった私たちは、その場所、その時間帯に、こんなに強い風が吹くとは全く知りもせず、予想もしていなかったのです。
緊急でバディと相談している間にもカヤックは強風によって押し戻されています。その場に留まるためにパドリングをしますが、そうすることで筋肉は疲労し、体力も削られていきます。募るのは焦りだけ。私たちはジリ貧でした。
ここでバディが英断?を下しました。一気に行こう、と。完全な脳筋プランです。
一応、私たちには他のプランもありました。その湖が安全な理由でもあるのですが、湖畔を一周するように道路があるので手近なところに接岸してから船を担いで1〜2時間も歩けばスタート地点に戻れます。
ただし、タンデムのリジッド艇でしたから30kgくらいあったと思います。2人で担いでも1人当たり15kgの重さ。艇には持ち手もあるのですが、ちょっと運ぶことを想定した構造なので実際的には片手で15kgも支えなければなりません。1時間以上も運ぶとなったら何度も休憩を挟まないと無理です。
バディの判断理由もその点にあって、陸を運ぶのも相当キツイから、湖上で全力を出し切ろうというものでした。
そこからは黙々とパドリングです。私が後方だったので、バディの動きに合わせて、寸分の狂いもなく、わずかなパワーロスもないように、とにかく集中して漕ぎ続けました。この時の私はスポーツマンでした。
ようやくスタート地点に辿り着いた頃には辺りは真っ暗でした。他の仲間が待っていて、曰く、全然帰ってこないから何かあったのかと思ったと、かなり心配をかけました。湖上では携帯電話の電波がなくて連絡ができなかったからです。
この日の夜は安堵感と極度の疲労でぐっすり眠れました。翌日から筋肉痛に苦しんだことも書き添えておきます。
そんなわけでいくつか教訓があります。
- 水の上では思いつきで行動してはいけない
- 地図や時計を活用すること
- 船は予想以上に風の影響を受ける
- 地形により発生する局所的な風は天気予報ではわからない
- 大抵の艇は意外なほどに重い
- 携帯電話の電波が届かないことがある
- 週3回ジムのローイングマシンで鍛えなさい
- 沈脱とロールの訓練は必須
近年、新潟市の大型釣具店でもカヤック等が販売されており、実際に海でもカヤックやSUPを見かけることもあります。とても惹かれますが、それでも私が海でカヤックをやっていない理由は、あの時の経験が一因です。
海には大きな潮流と小さなカレントがあって、湖よりもずっとリスクが高いです。それで釣りが目的となればマヅメを狙いがちになるのは明白です。新潟市では午前は陸からの風になりやすいので朝マヅメに沖へ出たっきり帰れなくなりそうです。かといって夕マヅメを釣りきってから日没後にまだ洋上にいるなんて単純に危険すぎます。漁船や大型船舶は航行してますから、その横波に気付けず沈したらパニック必至です。
手漕ぎ船で水に浮かぶことは冒険です。知識も体力も経験も必要です。だからこそ楽しい。自分の力でこんなことができたのかと感動できます。それこそがアウトドアレジャーの醍醐味だと思います。カヤックフィッシング、やりたいですねぇ。