サーフもベイトタックルで

2025年もシーズンインしました。じつは2024年からサーフでもベイトタックルを導入しています。今のところで所感を書いてみようと思います。

スピニングでバランスを取るのは難しい

2024年はスピニングにセットするPEラインを2号と0.8号を使い分けていました。それぞれ一長一短があると言えば聞こえがいいですが、魚を獲るという根本に立ち返ってみれば2号のほうが絶対的に良いはずです。しかし、2号では飛距離や風の影響という側面で不満を覚えることがあるため、より細いラインを選択したくなります。結局、サーフのスピニングタックルにおいて使い分け不要でバランスが良いのは1.2号かな、と思うところです。

ところが、1.2号というのは少しパワーが足りない。PEの1.2号というのは概ね20~24lbくらいの強度ですから、リーダーは一段下げて16~20lbを合わせます。ルアー等とリーダーの結束にダブルクリンチノットを用いることで、根掛かりを引っ張って切らざるを得ない場合には16lbの8割の力、つまり13lbくらいで切ることができます。これはFGノットやPEラインへのダメージを防ぐための「傾斜」なわけですが、13lbで切れるということはスピニングの場合のドラグ設定は3lbが適正となり、ざっくり言うと1.5kgでドラグが滑るようにしなければいけません。これはサーフロッドの強度に対しては弱気な設定です。それに、そもそも6番や4番のフックを曲げることが可能な強度にしたほうが良いのは言うまでもありません。

そんなわけで2号にするのですが、スピニングで2号となると飛距離は顕著に低下します。スピニングでは、あちらを立てればこちらが立たず、どうしても中途半端なバランスになってしまうのです。そこでベイトタックルの登場です。ベイトリールはラインの太さと飛距離との関連性がそれほどありませんから、この問題の解決にうってつけだと思いました。

右投げ左巻きで開始

サーフのベイトタックルは、当初、スピニングと同じ「右投げ左巻き」で始めることにしました。これは非常にスムーズでした。手返しがよいと言われることの多いベイトタックルですが、まさしくその通りでした。ピックアップからキャストまでの動作がスムーズで、サーフのロングゲームだとしても時間あたりのキャスト数が格段に増えます。しかもストレスがありません。スピニングでキャスト動作を淀みなく行おうとすれば集中が必要です。ベイトではピックアップ時にタラシの長さを目測しておくくらいしか注意点がないので、じつに簡単にキャストすることができます。

ただ、しばらくの期間が経って気づいたのは、これだとベイトタックルの利点が十分に発揮されていないということでした。スピニングにしろベイトにしろサーフタックルは重量があります。特にロングロッドゆえの慣性モーメントの増大によりロッド操作はままなりません。加えてスピニングリールの4000番以上ともなるとローターの慣性モーメントも大きいのでリーリングでアクションを生み出すこともできません。必然、タダ巻きの釣りになってしまいがちです。その点、ベイトリールであればキレのよいストップ&ゴーも可能です。ところが左巻きだと、どうも雑になる。繊細なリーリングでアクションを生み出して魚を誘うためには、利き手でリーリングする必要があると思うようになりました。

右投げ右巻きで再出発

そういった経緯で2025年の現在はサーフで右投げ右巻きのベイトタックルです。これに合わせてロッドとリールは買い直しました。

リールはRevo5 SX RocketからZenon Beast 9に変更です。35mmスプールの遠心ブレーキ機から、32mmスプールのマグネットブレーキ機に替えたことになります。一般的にロングキャストには大径スプールの遠心ブレーキ機がよいと言われていますが、事前に30mmスプールのマグ機であるZenon LTXで投げていて飛距離には差がなく、使用感も問題ないと判断できたため、この変更を前向きに受け入れました。また、来月に発売されるZenon CoreにMGスプールを載せたものにするかどうかも悩みましたが、Zenon BeastはZenon系で唯一クランクサイドプレートもアルミ合金であるため、リーリングでアクションをつけるという狙いを重視してBeastに決めました。

ロッドはサーフスレイヤーのベイトモデルです。この前に使用していたのは価格が3倍もする高級ベイトロッドでしたが、どうもそのようなロッドたちは大艦巨砲主義とでもいうのか、質量のわりに使用感が重く、リアグリップが長くて取り回しの悪いロッドという印象を持つに至りました。その点、サーフスレイヤーは使用感が軽いのが特長です。驚いたのは、軽いリールを合わせてもバランスが悪くないということ。150gのZenon LTXでも許容範囲内だと感じます。通常、ロングベイトロッドというと200~270gくらいのリールに焦点を当てたモデルが多いと感じます。その中においてサーフスレイヤーは異質に見えますが、それはアブガルシアの製品ラインナップが広いからこそ、きちんとサーフ専用として位置付けされた結果だと思えました。

さて、キャスト動作の流れは、やはり左巻きのほうがスムーズではあります。対して、右巻きの副次的な効果として、タックルのウェイトを受け持つ手が交代することで疲労しにくくなりました。今までは(スピニングであっても)フルキャストを2時間も続けると背中に痛みが出たりしていましたが、ロッドを左手に持ち替えることで自然と姿勢が変わるので凝り固まることがなくなりました。スピニングも右巻きにすることは可能ではあるものの右投げ右巻きとなると手元が非常に忙しくなるので現実的でありません。したがってベイトの利点と捉えることができると思います。

本命であったリーリングによるアクションは狙い通りの効果を得られています。ベイトリールは慣性モーメントが小さいことに加えて十分なトルクもあるので急始動と急停止が自在におこなえます。いわゆるリーリングジャークも可能なので本当に疲れ知らずです。まだ持ち替えによるスタンスの変更に慣れていないところもありますが、最適化されると快適性が増すと思います。これは足場のよいサーフならではの利点です。ロックショアではスタンスの変更時につまづくと転落事故につながりかねませんから、そのようなシーンでは右投げ左巻きが適しているでしょう。

ひとまずのレポートとしてはここまでです。いずれまたご報告したいと思います。